外国人の雇用を考える

外国人が日本で生活する場合、全部で28種類ある「ビザ」のいずれかが必要となります。

その内、就労が認められているビザは、在留資格「高度専門職」、在留資格「介護」、在留資格「技術・人文知識・国際業務」、在留資格「特定技能」、在留資格「特定活動」。その他、「身分系ビザ」と言われる「身分・地位に基づく在留資格」の「日本人の配偶者等」「永住者」「永住者の配偶者等」「定住者」となります。

 

外国人を雇用するには、雇用する外国人が、「出入国管理及び難民認定法」通称「入管法」で定められている「在留資格」の範囲内での就労活動が認められていることが必要となります。

実際に雇用をする際には、「在留カード」を見て、就労が認められている内容かどうか確認する必要があります。

在留カードとは、日本の中長期在留者がもつ、日本の法務省から発行された身分証明書(IDカード)です。

在留カードの表面に、「就労制限の有無」という項目があり、そこを確認することで、外国人が就労面でどのような状況にあるのかを確認することが必要となります。

在留カードの「就労制限の有無」の欄の中で「就労制限なし」とある場合は、自由に雇用することが可能です。
「身分系ビザ」と言われる在留資格「永住者」「定住者」や在留資格「日本人の配偶者等」「永住者の配偶者等」が与えられた外国人がもつ在留カードには、このように記載されています。

具体的に、「就労制限の有無」の事例をあげて説明をいたします。

在留カードの「就労制限の有無」の欄に、「在留資格に基づく就労活動のみ可」とされている場合は、在留資格の欄を確認し、当該在留資格で許容されている就労活動は雇用することができます。「技術・人文知識・国際業務」、「技能」などは「与えられた在留資格の範囲内で就労が認められている」在留資格です。

例えば、製造業の理工系エンジニアに与えられる「技術・人文知識・国際業務」の外国人には「理学、工学その他の自然科学分野に属する知識を必要とする業務」が許可されます。この範囲内であれば転職も自由にすることができます。しかし、「技術・人文知識・国際業務」にあたらない工場の製造ラインで製品の梱包作業や、運搬・配送業務に就くことは認められません。

在留カードの「就労制限の有無」の欄に、「指定書記載機関での在留資格に基づく就労活動のみ可」とされている場合は、指定書に記載された機関以外での就労はすることができません。高度専門職1号の在留資格をもつ外国人の在留カードにはこの記載があります。指定書とは、ご本人のパスポートに入国管理局により貼付された書面です。

在留カードの「就労制限の有無」の欄に、「指定書により指定された就労活動のみ可」とされている場合は、パスポートに貼られた指定書の指示に従う必要があります。難民申請中であるなど在留資格「特定活動」をもつ外国人の一部の方が、指定書により就労を許可されています。指定書の内容にもよりますが、通常はフルタイム雇用も可能であることが多いです。

在留カードの「就労制限の有無」の欄に、「就労不可」と書かれている場合は、別途、「資格外活動許可」を得なければ、一切就労ができません。留学ビザをもつ外国人の方も、在留カードの表面には「就労不可」と書かれています。在留カードの裏面の「資格外活動許可欄」を確認し、①「許可:原則週28時間以内・風俗営業等の従事を除く」又は②「許可:資格外活動許可所に記載された範囲内の活動」と書かれていれば、その範囲内で就労が可能です。資格外活動許可の範囲内での就労のためフルタイム雇用は難しく、アルバイト採用となります。

在留カードの記載をしっかりと確認して、外国人雇用を検討する必要があります。