特定技能ビザの1号と2号の違いについて

特定技能ビザができた背景

日本の産業界において労働者が不足しているという現状を解消するため、2019年4月から新たに導入されたのが「特定技能」と呼ばれる在留資格です。この資格ができた背景には、少子高齢化に伴う労働力人口の低下及び人材不足の問題があります。
制度が始まったばかりで、言葉や文化の壁もあることから、外国人を雇用する企業側は、コミュニケーションがちゃんと取れるか不安だという声が多くありますが、環境対策は設けられているため安心です。
資格を持つ外国人への仕事内容は、専門的なものである必要はなく、日常会話など日本語試験を受けて合格すること、一定の知識や経験など水準を満たすことができるものに対して、特定分野の産業に関わる仕事を行うことができます。人材不足に悩む企業にとっては嬉しい制度といえます。
今後も特定技能を有した外国人が増えていくと予想されており、企業側も受け入れる体制を整えることが必須となるでしょう。

 

特定技能ビザはなぜ必要か?

2019年3月時点で日本が受け入れ可能とする国は、ベトナム、フィリピン、カンボジア、中国、インドネシア、タイ、ミャンマー、ネパール、モンゴルに限定されています。(イランやトルコなど一部の国籍を持つ外国人に対しては付与対象外)
日本としては、特にこの9カ国の国籍を持つ外国人に、特定技能を活用して、日本での仕事に携わることにより即戦力となって企業や社会に貢献して欲しいという目的があると考えられます。

 

特定技能1号の業種と在留期間について

特定技能は、開始後5年間で最大34万5150人の受け入れを見込んでいます。特定技能を取得するためには、指定される14種の産業分野で必要とされる技能に加え、日常会話程度の日本語能力を求めています。より優れた語学力があることはもちろん、能力に対して特定技能外国人の報酬額は、日本人と同等額以上都定め、同業界での転職を認めています。これまでの在留資格よりも外国人に有利な条件となっています。

特定技能ビザは、1号と2号にわかれています。はじめは1号から取得になります。これまで技能実習生だった人を除いて、2号から始めることはできない仕組みとなっています。また、1号から2号に進むことができる業種、進むことができない業種とがあります。

1号を持っている外国人は、通算で5年しか日本に滞在することができません。そのため、日本での永住権は取得できず、他の在留資格への変更が認められることがない限り、母国へ技術を持ち帰り労働における社会貢献を果たすこととなります。
これらを踏まえて政府は、今回の特定技能ビザというのは、移民政策ではないと主張しています。
主に外国人の人材が必要と認可を受けている単純労働が必要である産業分野は以下の通りです。

1.介護事業
2.ビルクリーニング業
3.素形材産業
4.産業機械製造業
5.電気・電子情報関連産業
6.建設業
7.造船・舶用工業
8.自動車整備業
9.航空業
10.宿泊業
11.農業
12.漁業
13.飲食料品製造業
14.外食業

2号は家族との帯同が許可される上に在留期間の制限はありません。
2号に関しては永住権の獲得も可能となります。ただ、特定技能2号で認可されるのは2021年度に造船・舶用工業と建設業のみです。
このように、徐々に外国人を優遇する制度が増えてきている背景には、「労働に関わる人材不足を解消」するという目的があります。

 

特定技能2号の業種と在留期間について

特定技能2号については、2021年度から試験が始まる予定です。
特定技能1号よりも高い技能を有する外国人に付与される資格で、対象となる業種は以下の通りです。

・建設業
・造船・舶用工業

また、在留期間は1号では通算5年間に対して、2号では他の就労ビザと同じく要件を満たしている限り、在留期間を更新することが可能です。
尚且つ更新の回数には制限が設けられていません。そのため、在留期間が決まっている1号とは違い永住資格を満たす可能性があります。
日本在住外国人として将来にわたり、貴重な戦力として活躍することができるため、企業側も安心して仕事を任せる傾向にあります。
さらに、技能実習では転職が不可能ですが、特定技能においては1号、2号いずれも同一業種での転職が認められます。

これにより、技術を磨き経済発展を支える人材となることができ、日本の深刻な労働問題を解消すると同時に、
新たな産業を生み出す担い手となるでしょう。

以上、今回の記事では特定技能1号と2号の違いについてまとめてみました。