特定技能ビザで外国人を受け入れることができる業種

日本の現状

「特定技能」という在留資格ができた背景には、少子高齢化に伴う労働力人口の低下及び人材不足の問題があり、とても深刻な状況となっています。

危機的状況にある日本の現状を理解する必要があるとともに、解消するための対策を将来を見通した上で改革を進めねばなりません。
総務省によると、我が国は2008年をピークに総人口が減少に転じており、2050年には総人口が1億人を下回ることが予想されています。
生産年齢とされる15歳以上65歳未満の人口が1997年以降減り続けています。
ただ、有効求人倍率は2017年に43年ぶりの高水準となっていて、その背景には65歳以上を中心とした求職者が増えていることが考えられます。有効求人倍率とは、ハローワークで仕事を探す人1人に対して何人分の求人があるかを示す指標です。つまり、2017年の例を見ると、100人の求人に対して159人分の仕事があるということになります。

日本の産業界において労働者が不足しているという現状を解消するため、2019年4月から新たに導入されたのが「特定技能」と呼ばれる在留資格です。この資格を持つ外国人への仕事内容は、専門的なものである必要はありません。人手不足であることを政府が認めた産業分野で働くことが条件となります。今後も特定技能を有した外国人が増えていくと予想されており、企業側も受け入れる体制を整えることが必須となります。

 

特定技能の受け入れは。現在9カ国あります。

制度が始まったばかりで、言葉や文化の壁もあることから、外国人を雇用する企業側は、コミュニケーションがちゃんと取れるか不安だという声が多くあります。そのため、日本語試験も実施されており、企業ごとに1から教育を行わなくても、一定の水準を満たしているため日本人同様またはそれ以上に業務を遂行していく優秀な人材を見つけることが可能です。
ただ2019年3月時点で日本が受け入れ可能な国は、ベトナム、フィリピン、カンボジア、中国、インドネシア、タイ、ミャンマー、ネパール、モンゴルに限定されています。(イランやトルコなど一部の国籍を持つ外国人に対しては付与対象外)日本としては、特にこの9カ国の国籍を持つ外国人に、特定技能を活用して、日本での仕事に携わることにより即戦力となって企業や社会に貢献して欲しいという目的があると考えられます。

 

気になる特定分野の業種は?

特定技能は、開始後5年間で最大34万5150人の受け入れを見込んでいます。特定技能を取得するためには、指定される14の産業分野で必要とされる技能に加え、日常会話程度の日本語能力を求めています。より優れた語学力があることはもちろん、能力に対して特定技能外国人の報酬額は、日本人と同等額以上都定め、同業界での転職を認めています。これまでの在留資格よりも外国人に有利な条件となっています。

また、特定技能資格は、1号と2号にわかれています。1号は5年間の在留期間を認めています。主に外国人の人材が必要と認可を受けている単純労働が必要である産業分野は以下の通りです。
1.介護事業
2.ビルクリーニング業
3.素形材産業
4.産業機械製造業
5.電気・電子情報関連産業
6.建設業
7.造船・舶用工業
8.自動車整備業
9.航空業
10.宿泊業
11.農業
12.漁業
13.飲食料品製造業
14.外食業

2号は家族との帯同が許可される上に在留期間の制限はありません。2号に関しては永住権の獲得も可能となります。ただ、特定技能2号で認可されるのは2021年度に造船・舶用工業と建設業のみです。このように、徐々に外国人を優遇する制度が増えてきている背景には、「労働に関わる人材不足を解消」するという目的があります。

1号と2号の在留期間の違い

はじめは1号から取得になります。これまで技能実習生だった人を除いて、2号から始めることはできない仕組みとなっています。また、1号から2号に進むことができる業種、進むことができない業種とがあります。

特定技能ビザ1号を持っている外国人は通算で5年しか日本に滞在することができないため、日本での永住権は取得できず、他の在留資格への変更が認められることがない限り、母国へ技術を持ち帰り労働における社会貢献を果たすこととなります。
これらを踏まえて政府は、今回の特定技能ビザというのは、移民政策ではないと主張しています。

一方2号は、他の就労ビザと同じく要件を満たしている限り更新することが可能で、尚且つ更新の回数には制限が設けられていません。そのため、1号とは違い永住資格を満たす可能性があり、日本在住外国人として将来にわたり、貴重な戦力として活躍されることが期待されます。
さらに、技能実習では転職が不可能ですが、特定技能においては1号、2号いずれも同一業種での転職が認められます。

これにより、技術を磨き経済発展を支える人材となることが期待されています。